Vol.1 顧客主導型市場の到来 D
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![]() ![]() ![]() 顧客主導型市場における企業の戦略的フォーカスが、「カスタマー・エクスペリエンス」に置かれるようになった結果、企業のマーケティングやセールス活動におけるアプローチも大きく変わってきています。 例えば、かつて、マーケティング活動のフォーカスは新規顧客の獲得(Customer Acquisition)に置かれていました。アメリカのカタログ通販業界を見ても、1980年代から1990年代の初めにかけては、潜在顧客を年齢、性別、所得レベル、あるいは居住地域などの「デモグラフィック・データ」によって分類した「メーリング・リスト」が莫大な金額で売り買いされていました。「カタロガー(カタログ通販業者)」は、こういったリストに頼り、さらに膨大なコストをかけて、大量のカタログを片っ端から送る、という顧客開拓(Customer Acquisition)手段をとっていました。(そして、こうして送られた大半のカタログは、潜在顧客の関心を引くこともないままゴミ箱に捨てられる運命にありました。) しかし、顧客主導型の市場になり、このような、「カタログばら撒き」戦略はまったく時代遅れなものとなってきています。新規顧客獲得(Customer Acquisition)だけに焦点をあてたプロモーションに無闇に予算を投入しても、開拓したそばから顧客がどんどん離反していくのでは無意味ということに、多くの企業が気づき始めているからです。むしろ、「顧客」になってくれた人たちをどうやって満足させ、ロイヤルティを向上させ、顧客シェア(Share of Wallet)を拡大していくか、というところに、企業経営者の関心は移ってきています。これを反映して、カタログ通販業界においても、個々の顧客のニーズや潜在需要に着目し、パーソナライズ・オファーを発信していくことが主流になってきています。業種別や商品カテゴリー別にまとめられた「スペシャルティ・カタログ」や、Eメールで配信されるカスタム・クーポンやプロモーションなどはこの傾向の表れであるといえるでしょう。 離反しかけているお客様を呼び戻すための「蘇生プログラム(Resuscitation Program)」への注目も高まっています。個人的な話ですが、私が贔屓にしているクリーニング屋さんは、私が1ヶ月もごぶさたしていると、すぐに、クーポンつきのポスト・カードを送ってきます。「We Miss You. Please Come Back.(久しく姿を見ていないけど、帰ってきて! )」などというアメリカらしいメッセージが綴ってあり、「来店の際にはこれをご提示ください」と、10ドル値引きのクーポンなどがついているのです。アメリカ、特に私の住むロサンゼルスには、100歩あるけばクリーニング屋さんにぶち当たる、というくらい多くのクリーニング屋さんがありますから、相当、競争が激しいのでしょう。個人経営の独立系店舗といえども、リテンション戦略(Retention Strategy)にはかなり力を入れているのです。 ところで、「新規顧客開拓(Customer Acquisition)よりは既存顧客維持(Customer Retention)」が常識になりつつある中、古いやり方を頑固に貫き通している業界もありますね。新規契約者に限ってどんどんディスカウント・オファーを出し、既存顧客に不利な条件を提示する携帯電話サービス業者などが、アメリカでは悪名高い例です。 ![]()
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