Vol.1 顧客主導型市場の到来 C
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![]() ![]() ![]() 市場が、商品(サプライヤー)主導型から顧客主導型へと移行し、企業は、戦略策定におけるパラダイム・シフトを強いられることになりました。 かつて、商品主導型の市場においては、TQC(Total Quality Control)などというコンセプトが重視されていました。元来、「ものづくり国家」であった日本は、製造におけるプロセス管理においては高く評価されていました。TQCのルーツであるといわれている、「KAIZEN」は、アメリカでも一般のマネジメント用語として広く認識されています。 しかし、顧客主導型市場の到来に伴い、企業の競争優位確立の戦略として、商品や製造プロセスのクオリティのみにフォーカスを置くのではなく、むしろ、「カスタマー・エクスペリエンス」の包括的な管理に着眼すべきだ、という考え方が提唱されるようになってきました。これを、「トータル・カスタマー・エクスペリエンス」といいます。 商品からエクスペリエンスへの焦点の移行は、商品が差別化要因とならない市場において、最も明らかに観察することができます。例えば、本屋。ご存知のように、書籍というものはどこで買っても同じです。アマゾンなどといったオンライン・リテーラーが出現して以来、アメリカの本屋が競争の焦点としているのは、「店舗」という空間におけるエクスペリエンスです。アメリカには、もはや、独立系の本屋というものはほとんど存在しませんが、生き残っているものは、店舗内の環境づくりという点で独自性を発揮しているものばかりです。たいていの場合、どの本屋にもお茶を飲んで一服できる場所があり、ゆったりと座り心地のよいソファーが置いてあり、子供たちのための「ストーリー・タイム」や、特定の本に関して読書好きが集まって意見を交換する「ブック・ディスカッション・クラブ」など、様々なコミュニティ・イベントを主催しています。 アメリカの優良企業の多くは、カスタマー・エクスペリエンスの構築や管理における最高責任者として、Chief Experience Officerというポジションを設けています。もっとも、これはCEO(Chief Executive Officer)と混同されやすいため、CCO(Chief Customer Officer)や、CCEO(Chief Customer Experience Officer)などという名称を用いている企業もありますが・・・。いずれにせよ、「カスタマー・エクスペリエンス」に、アメリカの企業がどれだけ重きをおいているか、ということがおわかりいただけるでしょう。 ところで、アメリカのコンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーが、362社を対象に意識調査を行ったところ、80%の企業が、「わが社は顧客に卓越したエクスペリエンスを提供している」と回答したそうです。しかし、肝心の顧客に意見を聞いてみると、企業側が自ら感じているのと同じ評価を下したのは、わずか8%に過ぎなかったというのです。「カスタマー・エクスペリエンス」に関する、企業の認識と、顧客の認識との間には、大きなギャップが存在するという、大変興味深い調査ですね。 ![]()
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