#8: 激化するアメリカのコピー/プリンティング市場
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![]() その中で業界第1位のマーケット・シェアを誇るのがフェデックス・キンコーズです。全米に約1,100店舗を構え、コピー/プリンティング業者としてのブランド認知度は他社に勝るものがあります。1970年に設立されて以来、瞬く間に店舗を拡大し、今ではアメリカ国内で知らない人はいないというほどのリテール・チェーンへと成長しました。 ![]() 日本ではあまり認識されていないかもしれませんが、フェデックスの元来のビジネスは“ビジネス・ドキュメントのエクスプレス・デリバリー”です。つまり、広いアメリカの国土においてビジネス書類をオーバーナイト(翌朝配達)で届ける、ということがフェデックスの価値提案であり、それに基づいてビジネスを展開してきました。しかし、インターネットが普及した今、ビジネス・ドキュメントを飛行機で輸送する、というサービスにはそれほどの価値は見出されなくなってきています。こういった市場変化をベースとして、フェデックスがキンコーズを買収した背景には、フェデックスの持つ輸送インフラとキンコーズのもつプリンティング・インフラをドッキングさせ、そこにデジタル流通という要素を付加して他社にはない優位性を築こうというフェデックスの思惑が感じられます。 今日、フェデックス・キンコーズが今後の成長の糧としてフォーカスを置いているのがドキュメント・マネージメントです。ドキュメント・マネージメントとは企業の部門間やチャネル・パートナー間におけるドキュメントの作成、印刷、ディストリビューション、コンテント管理を一手に引きうけサポートする新しいタイプのアウトソーシング業態で、アメリカには、35億ドル(3,500億円)規模の市場があると言われています。フェデックス・キンコーズはこの市場に次なる成長の機会を見出そうとしているのです。 一方、コピー/プリンティング市場で勢力を増大させ、フェデックス・キンコーズを追い上げてきているのが、Staples(ステープルズ)です。ステープルズは2003年には業界第6位でしたが、現在フェデックス・キンコーズに次いで業界第2位と勢力を拡大してきています。ステープルズではコピー/プリンティング市場を次なる成長戦略として考え、スーパーストア店舗の一角に構えられた従来型のコピー/プリンティング・コーナーではなく、フェデックス・キンコーズのようなコピー/プリンティング専門店を全8店舗オープンするなど、同サービスの展開に本腰を入れ始めています。 コピー/プリンティング・サービスにおける利益率はオフィス・サプライ販売のおよそ2倍といわれています。ステープルズをはじめとするオフィス・サプライ・スーパーストアは、サービス事業の強化をねらい、コピー/プリンティング・サービスの充実に力を入れており、この攻勢にフェデックス・キンコーズは押され気味であるといえます。しかしながら、大手による市場進出で本当の危機にさらされているのは、市場の半分を占めている独立系コピー店でしょう。今日では、オンラインでプリント・オーダーを入れて、遠隔地で印刷物を受け取る、などといったサービスは一般的になってきていますが、ネットワーク化されていない独立系店舗の場合、こういったサービスを提供することはできず、大手チェーンやフランチャイズに対して不利な条件の下にあるといえます。今後、アメリカのコピー/プリンティング市場がどのように変化していくのか、独立系のシェアを奪い、王者の座に君臨するのは誰なのか、注目に価するところです。 関連ブログはこちらです。 『Office Depotの新しいCM』 ![]()
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